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2012年7月28日土曜日

小学生のための物理学講座 第1回 その3

〔前回までのあらすじ〕
小学1年生の太郎君は、6500万年前に暮らしていた恐竜に触りたいとだだをこね、
似非天才科学者である博士に、タイムトラベルの方法を教えてもらうのであった。


・時空の抜け道を通れば・・・!?

太郎「う~ん、じゃあ、過去に行けないんだね・・・。」

博士「いやいや。あきらめるには早いぞ。太郎くん、反粒子を知ってるかね?」

太郎「え~と、真空中で、粒子と反粒子が対生成されて、
   対消滅するから真空はゆらいでいるんだって、理科で習ったよ。

博士「さすがはゆとり世代!!わしの頃は保育園で習っておったんじゃが・・・。
    まあ、ファインマンという人によれば、反粒子は過去へ向かうとされておるんじゃ。

太郎「え!?過去に行っているの!?」

博士「ふむ、それが、ディラックの海という考え方における
   問題点を解決する仮説なんじゃ。」

太郎「はぁ。」

博士「わかりやすく説明しよう。相対論的量子力学という訳分からん考え方において、

フェルミ粒子、すなわち電子とかの普通の粒子の動きを説明するものに、

ディラック方程式というのがあるんじゃ。」

太郎「ディラック方程式を解けば、電子等のフェルミ粒子の振る舞いが分かるんだね?」

博士「そうじゃ。じゃがこの方程式には問題があったのじゃ。
    この方程式を解いておると、負のエネルギー固有値が出てきたのじゃ。」

太郎「負のエネルギー?なんか中二臭いね。」

博士「そうじゃろう。だから問題じゃったんじゃ。
    こんな中二臭いものを神聖なる物理学の世界に蔓延らせるわけにはいかんからの。

太郎「そうだね。なんか臭いもんね。」

博士「だが、ディラックさんはこう考えたんじゃ。反粒子なるものが存在するからだと。」

太郎「なるほど。んで、なんで反粒子が過去にいくの?」

博士「まあ、数学上のあつかいで、そう考えたほうがいいみたいな感じだから、
   本当に過去にいってんのかどうかは分からんがの。」

太郎「なんだ、ただの数字あそびか。」

博士「まあ、物理学者の前でそんなこと言ったら、リンチされるから気をつけなさいよ。
   他にもタイムトラベルの方法として、ワームホール宇宙ひもをつかったものがある。」

太郎「ワームホール?」

博士「ふむ、空間の抜け道みたいなもんじゃ。図であらわすとこんな感じじゃ。」

ワームホールを通れば、光より速く目的地に着くことも可能なのだ!!

太郎「うわ、普通なら100億年もかかる道のりでも、
   ワームホールを通れば一瞬でいけちゃうんだね。
   でも博士。光の速度は超えれないんでしょう? 」

博士「んまあ、ワームホールを通った場合は、距離がものすごく近くなるんじゃ。
   速度が増すわけではない。」

太郎「どこでもドアみたいだね。これをどう使えば、過去にいけるの?」

博士「ふむ。太郎くん。光に近い速度で移動するとどうなるんだったかな?

太郎「ええと、時間が遅くなるんだったよね?」

博士「ふむ、これを利用するんじゃ。図で表してみようね。」

ワームホールを使えば、過去にいける!?

太郎「うわ!!!?
    なんで、時刻2時のときのワームホールAから出てくるの!?

博士「まあ、ワームホールは一瞬、つまり空間だけでなく時間も繋いでいると考えれば、
    こうなるのぉ。」

太郎「すごい!!これを使えば恐竜に会えるんだね!?」

博士「ふ~む。実はこれ、かなり怪しいんじゃ。」

太郎「え?」

博士「この理論には、以下の問題点が生じる。

①そもそもワームホールなんてあるのか?

②ワームホールを光速に近い速度で移動するだけのエナジー
人類は多分戦争に使っちゃうし、戦争以外では使わないんだろうなぁ。

③ワームホールを人間、というか物体が通ることは可能なのか?」

太郎「順に説明をお願いします!」

博士「まず①について。
   ワームホールはまだ見つかってないということ。

    ワームホールはブラックホールの仲間なので、
    もしかしたら存在するかもしれないけど、まだ見つかってないから、

   河童やネッシーを使った料理について考えるのと
   同じレベルのお話

    なんてことを物理学者の前でいったら、多分やられちゃうんだろうなぁ。」

太郎「なるほど。まだ見つかってないんですね?では②について。」

博士「まあ、なんとういかさ、人間はさ、戦争大好きだからね。

太郎「たしかにそうですね。では③について。」

博士「ふむ。ワームホールは大まかに言えば時空の歪みなんじゃ。
    だからブラックホールと同じようなもんじゃ。

    そして内部では特異点が真空を分極しているから、
    すさまじい放射線とエネルギーに満ちている可能性が極めて高い。

    また、ワームホールは通常、素粒子レベルの大きさしかない。
    これを人間が通れるくらいの大きさにまで広げるには、
    すさまじい負のエネルギーを必要とするんじゃ。
    そんなもん、本当にあんのかも分からんし、
    あったとしても戦争に使っちゃうから、もう駄目だね。」


太郎「う~ん。
  もしも人間が戦争をしない生き物だったら
  可能性はあったんだけどな~。
 」


・タイムトラベルの研究


太郎「あ~あ。結局、恐竜には会えないんだね。
   もう僕生きていく気力をなくしちゃったよ。

   今思えば、そう、花子ちゃんに鼻くそをプレゼントして
   ふられた去年の夏、あの時すでに僕は全てを失っていたんだ。

   確立されない存在現象のアイロニーと化していた僕を
   支えたのがティラノサウルスのナニに触るという欲望だったんだ。

   でもその夢も、人類の愚考と性欲によって粉砕されてしまった。
   もう、心はいらない、光もイエスも原発もいらないんだ!!


博士「まあ、そう僻むでない。
   現在においてもタイムマシンについて研究している学者はいっぱいおるんじゃ。

   コネチカット大学では、レーザーをリング状に配置し、
   回転させることで弱い重力場を発生させ、擬似ブラックホールの外周を形成させて、
   素粒子を過去に飛ばそうとしておる。」

太郎「へえ~。」

博士「また、タイムトラベルが不可能とする理論はまだ見つかってないんじゃ。
   だからあきらめるにはまだまだ早いんじゃよ。」

太郎「そうか・・・。そうだよね。よし!!
   僕がんばって学者になって、タイムマシンを作ってみせるよ!!」

博士「そうじゃ!その意気じゃぞ、太郎君!!」

太郎「だから博士!!
   まず手始めとして、溜まった宿題を解いてくれませんか!!?」

博士「ありゃりゃ。」


・コラムーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

博士「実は、重力も時間を遅らせるんだ
   だからものすごく重力の強い惑星で暮していて、何年かぶりに地球へ帰れば、
   ウラシマ効果が起こるんじゃ。

また、ブラックホールの中心は重力崩壊を起こしていて、いわば重力無限の状態。
しかも特異点だから、従来の物理学の法則が成り立たないんじゃ。
この場所でなら過去や未来に自由に行き来できるかもしれんの。
まあ、そのまえに死んじゃうんだけどね。

あと、今回はタイムパラドックスについてまったく取り上げなかったね。
これは、5112が、タイムパラドックスは起きないという考えの持ち主だからなんじゃ。
過去へ飛んだ場合は、パラレルワールドの分岐が強制的に生成されて、
元の平行世界とは異なった可能性の世界に飛ぶからと考えておる。
つまり、通常なら絶対に行くことができないとされていた並行世界に行ける方法が
タイムトラベルというわけじゃな。」


・あとがき

なんか絶対、小学生は読まないだろうな、と思った。

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