博士「鏡以外の方法でも過去を見れることが、分かったね?」
太郎「うん!要するに、その時の情報を持った光が目に入れば、
その時の情報が観測できるわけだね!?」
博士「そのとおり!」
太郎「でも博士。僕は恐竜を見たいのもあるけど、触りたいんだよ?
これじゃ、何億光年も彼方の星を見るのと変わらないよ。」
博士「そうだね。じゃあ、太郎くんはどうしたいのかな?」
太郎「やっぱり、タイムトラベルしかないよ。僕自身が過去に行くのさ。」
博士「時間を行き来したいってことかな?」
太郎「うん。でも博士。本当にそんなことってできるのかなぁ。」
博士「そうだね。ちょっと怪しいよね。
でも太郎君。未来に行く方法は結構いっぱいあるんだよ。」
太郎「え!?」
博士「冷凍冬眠とか、仮死状態での長期睡眠とか・・・、
ああ、あと、夜におんにゃのことイチャイチャしたときも
いつの間にやら朝になっておったりするぞい。」
太郎「なんか寝てばっかだね。」
博士「もっと物理学的なのにしようか?
太郎君、アインシュタインって人を知ってるかい?」
太郎「え~と、たしか相対性理論・・・だったかな?そんなんを考えた人だよね?」
博士「そのとおり。この相対性理論では、いくつかのことが言えるんだけど、
その中に、こーゆーのがあるんだ。
『光の速度に近い速さで進む物体の時間は、遅くなる。』」
太郎「え?遅くなる・・・?」
博士「うん。正確に言えば、動いてるものは全部、
動く速度にあわせて時間の進みが遅くなるんだ。」
太郎「へぇ~。」
博士「これを利用したもので有名なのが『ウラシマ効果』だよ。
図で表してみようね。」
2012年に出発して、10年後に帰ってくると、100年もたってる? |
博士「物凄い速度で進むロケットに乗って、2012年に地球を出発した太郎君(7歳)。
太郎君にとって10年が経ち、地球に帰ると、アラ不思議。
地球ではすでに100年も経っていましたとさ。めでたしめでたし。」
太郎「ええ~~!?そんな馬鹿なことってあるの!?
まるで浦島太郎みたい・・・、そうか!だからウラシマ効果っていうんだね!?」
博士「そのとおり。そしてこの方法を使えば、未来へ短時間で行くことが可能になるんだ。」
太郎「へえ~。・・・うん?ちょっと待って博士。
この現象の場合、いったいどの時間軸が正しいの!?
地球?それとも僕???」
博士「あ~、大変いい質問だね。
最近の大学生にこの話をしても、きょとんとしてるだけで、
そーゆー、マーベラスな質問をしてこないんだ。寂しいとは思わないかい?」
太郎「う、うん。まあ、そうだけどさ・・・。それより僕の質問に答えてよ。」
博士「太郎君。そもそも正しい時間ってあるのかな?」
太郎「え?」
博士「さっきも言ったように、動くもの全て、少なからず時間が遅れるんじゃ。
今こうして椅子に座っているように思っても、地球は動いとるし、太陽系も動いておる。
銀河系も自転および公転みたいな動きもしておるんじゃ。では宇宙は?宇宙の外は?
いったいどこが止まっておる?
そも止まっている場所の時間が正しいなどと誰が言える?」
太郎「うわ、わかんないよ。」
博士「むずかしく考えることはないんじゃ。
みんな、それぞれ、異なった速度の時間の中を生きておるんじゃ。
これが、相対性という考え方なんじゃよ。
相対性の反対は、絶対性じゃ。絶対領域ではないぞ。」
ニュートンのころの物理学は絶対性、アインシュタインが相対性の考えを持ち込んだ。 |
太郎「じゃあ博士。具体的に、どれくらいの速度で動けば、
僕にとっての10年が、地球にとっての100年になるの?」
博士「うん、それを求める式がこれじゃ。」
本当はもっとカッコいい式なんだけど、小学生のために簡単にしたよ。 |
太郎「うわ、なに、このグニャンってなったのは?」
博士「ああ、たしか、ログ・・・、じゃないな、え~と、ルート・・・だったかなぁ。
まあ、気にせんでよいわい。
とにかくこの式に当てはめて考えると、太郎君は光速度の約99.4%の速度で動けば、
太郎君が17歳になったときには、地球は100年たっておるわい。
まあ、地球を静止系として考えればの話じゃがな。
ああ、あと加速とか減速もしなかった場合じゃよ。これは。」
太郎「え~と・・・。そんなに速い乗り物ってあるの?」
博士「乗り物じゃなければ、そーゆー粒子は結構多いんじゃが。
まあ、いずれにせよ、そんな速いものに乗ったら、人間なんかあっという間に
死んでしまうのぉ。」
・光の速度を超えれるか?
太郎「う~ん、まあ、理論的には、未来へはいけるんだね?」
博士「そうじゃの。光の速度に近づけば、それだけ未来にいけるんじゃ。」
太郎「じゃあさ、博士。どんどん速度を上げていって、
光速のたとえば10万倍とかで動いたらどうなるの?」
博士「ああ、いい質問だね。
つまり光より速く動いたらどーなるのかってことだね?
どーなると思う?」
太郎「う~ん。やっぱりもっと未来に行っちゃうのかなぁ?」
博士「う~ん、これにはいろんな説があるんだけど、
一般的にはよく、過去に行く、と言われるね。」
太郎「え!!!?過去に!!?」
博士「まあ、そうらしいね。
でも光速(真空中の)を超えることは不可能とされているんじゃよ。」
太郎「え!?どうして?」
博士「相対性理論の中に、動くものは質量が増える、というのがあるんじゃ。」
太郎「え!?質量が増える!?」
博士「正確には、質量が増えるというより、加速されにくくなっていくんじゃ。
光速に近づけば近づくほど、その物体はどんどん加速されにくくなっていく。
つまり、光速になろうとすれば、
ものすごいエネルギーが必要になるんじゃ。」
太郎「ものすごいってどれくらい・・・?」
博士「う~ん、無限じゃな。」
太郎「それじゃあ、無理だね。
・・・うん?ちょっと待ってよ博士。
じゃあ、どうして光は光速で動けるの!!?」
博士「それは、光の粒、すなわち光子に質量が無いからじゃよ。
質量0の物体は、光速になることができるんじゃ。」
太郎「じゃあ、光速も超えれる!?」
博士「じつは、だめなんじゃ。光の速度は不変なんじゃよ。
まあ、媒体内を通ることで減速はするんじゃが、
光速をこえることはないんじゃ。図に表してみよう。」
光は光速以上には加速できない? |
博士「太郎くん。
時速100キロで走る車から、野球選手が時速120キロでボールを前方に投げたとしよう。
このとき、車の外で静止している人から見たボールの合計速度はいくらになるかな?」
太郎「う~ん・・・。100+120+重力加速度・・・かなぁ・・・?」
博士「太郎君、重力は無視してくれ。あと無視しなかったとしても、足すのはなんか変じゃ。
100+120でいいんじゃよ。」
太郎「ああ、そうか。
どうも僕、計算式には絶対に重力加速度を入れなくちゃいけないような気がするんだ。
僕、変なのかな?」
博士「変じゃよ。」
太郎「・・・」
博士「つまり、車の外にいる人にとってボールは時速220キロで飛んでいるように
見えるはずじゃ。
さて、今度はボールの変わりに、光を前方に発射してみよう。
このとき、車の外にいる人には、一体どれくらいの速度で光が飛んでいくように
見えると思う?」
太郎「え~と、100+光速かな?
なんだ、光の速度を超えちゃった。」
博士「うん、そう思うよね。
でも違うんだ。正解は光速のまま。」
太郎「え?」
博士「車に乗っている人にとっても光速だし、車の外にいる人にとっても
光速なんじゃ。」
太郎「うわ~。気持ち悪いね。」
博士「もっと正確に言えば、この世界でもっとも速い速度が光速なんじゃ。
この世界で移動する限りは光速以上には
なれないとされておるんじゃよ。」
0 件のコメント:
コメントを投稿